エフ
「ん? 魔術師の遺産が? それは初耳、あー……」
なんとなくだがとある現況を察し、エフは左手で目を覆いつつ口をへの字にする。
「ひかりさん、“欲望”というのは往々にして諍いを生み出すものですね」
ひとまず、ため息をつくと何故かエフが語り始める。
「つまり発端は魔術師の遺産目当てという欲望で冒険者達が森に入り込む様になったのが原因ということですね。
そして、元の世界へ戻る為の手がかりとなるかもしれない遺産は、自身の封印が解けるまで何としても他人の手にわたるわけは行かないとリリスさんは死守したかったと。どちらも加害者で被害者」
エフが腕を組んでしばらく悩んだ後、まず仲間達に向かって話す。
「ええ、と。今からとんでもない提案をするのですが、黙認してはくれますか?」
その後、リリスに向かって話す。
「リリスさんや、これは個人的な考えなのですが……。私の条件を飲んでいただけるのでしたら、封印を解き、元の世界へ戻すその手伝いをしてあげたいのですが」
恐らく仲間たちからは何故という顔をされるだろうが、話を続ける。
「私もこことは別の世界からやってきた者で。そこで私は現世と幽世が混じり合ってしまった異界に迷い込んだ者達を現世に戻す仕事をしていまして。
いわばここも私から見れば異界の様なものであり、あなたも迷い人。つまり、封印を解いたら私に同行する事を条件に元の世界へと戻るお手伝いをさせてはいただけないでしょうか?」